鷹山と平洲上杉鷹山と、その師・細井平洲

細井平洲 実行と覚悟

勇なるかな勇なるかな、勇にあらずして何をもって行なわんや

ゆうなるかな ゆうなるかな、ゆうにあらずして なにをもって おこなわんや

勇気だ、勇気だ。勇気がなくて、どうして事を行えようか。

藩主となる直前の鷹山の問いに、平洲が答えた言葉として東海市が伝えている。

この言葉には、前後のやりとりが残っている。鷹山はまず、こう問うた。「わたしは幼いままで、藩の人々に藩主として臨むことになります。このことが気になって心が落ち着かず、薄氷の上を歩むような気持ちでおどおどしています。どうすればよいのか、教えてください」。

平洲は答える。大事だと思うこと、手本にしたほうがよいと思うことはすべて教えた、と前置きしたうえで、残るは勇気だと言う。「勇気ですよ、勇気なくして、どうして政治ができるでしょうか」。それが「勇なるかな勇なるかな、勇にあらずして何をもって行なわんや」である。

鷹山はこれを聞いて「よいことをお聞きしました。このことを帯に書いて忘れないようにします」と応じたと伝わる。帯に書く、という具体的な行為に、この言葉の受け取り方が表れている。

十七歳で藩主となった鷹山が背負ったのは、推定二十万両の借財と、変化を望まない重臣たちだった。正しい方策を知っていることと、反対を押し切って実行することは別である。平洲がここで言う勇気は、蛮勇ではなく、正しいと判断したことを実行に移す胆力を指す。組織の中で、何が正しいかは分かっているのに動けない場面は今も変わらない。分析が足りないのではなく、勇気が足りないのだと言い切る点に、この言葉の価値がある。

出典:東海市公式ウェブサイト「細井平洲のことば」


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