なせば成る なさねば成らぬ 何事も 成らぬは人のなさぬなりけり
なせばなる なさねばならぬ なにごとも ならぬはひとの なさぬなりけり
やればできる。やらなければできない。できないのは、人がやらないからだ。
隠居所・餐霞館において、世子顕孝の周りに仕える家臣へ示した十四か条の壁書の最後に添えられた歌。
鷹山の言葉として最も広く知られる和歌である。米沢市によれば、隠居所である餐霞館に移った際、世子顕孝の周りに仕える家臣に示した十四か条の壁書の、その最後に付記されたものだという。現在も顕彰碑に刻まれている。
励ましの言葉として引かれることが多いが、書かれた場面を踏まえると性格が変わる。十四か条の心得を並べたあと、最後に一首添えている。つまりこれは、精神論として単独で置かれた言葉ではない。具体的な心得を十四も書いたうえでの、締めくくりである。
しかも書いたのは、破綻した藩財政を実際に立て直した人物である。若者への訓示ではなく、やり遂げた者の総括として読むべき言葉になる。
三句目までで「やればできる、やらねばできない」と当たり前のことを言い、四句目で「できないのは、その人がやらないからだ」と言い切る。逃げ道を残していない。
なお、この歌には類似の先行歌があるとされ、鷹山の完全な創作かどうかについては議論がある。ただし、明和4年に神前で退路を断ち、実際に藩を立て直した人物が書き残したという事実が、この歌の重みを決めている。
出典:米沢市「餐霞館遺跡」